筋力トレーニングの原則

軍隊式フィットネス

体の構造とフォームの関係を知る

  自分の体にどのような筋肉があり、どのような構造になっているかを理解すればフォームの正確さが増します。良く初心者は、フォームが同じなら負荷のかかる筋肉も同じと考えてしまいます。 例えば、大胸筋を鍛える代表的な種目のプッシュアップ。もし胸の力を抜いて腕の屈伸を中心にしたり、肘を閉じるように屈伸させると胸より腕に効きます。最初から鍛える部位が上腕三頭筋であればそれでも良いのですが、胸を鍛えるつもりでやっていたら、なかなか目的が達成できずヤル気を失う結果になりかねません。  

大筋力を先に、小筋群は後にやる

大筋力とは、胸、背中、大腿など大きな筋肉のことで、小筋力とは腕やふくらはぎなどの小さな筋肉を指します。筋肉はバラバラに独立しているわけではなく、1つの運動にいくつかの筋肉が働くため、大筋力のトレーニングでは一緒に小筋力も関与しやすいです。小さな筋肉を先に疲れさせてしまうと、それに関連する大きな筋力を効率よく運動させにくくしてしまうのです。 もし握力を鍛えた後でプルアップ(懸垂)をやろうとすれば、広背筋に負荷を有効に与える前に、バーを握る手が疲れて運動が続けられなくなるでしょう。これを先にプルアップ、次に前腕の順にすると握力はすでに使っているので、さらに加える種目が少なくすんでトレーニング時間の節約にもなります。 ただしこれは基本であって、時には逆の場合もあります。もう一度プルアップを例にすると、バーを握る腕の疲れが早いと感じる人はプルアップの回数に集中するよりも、ウィークポイントになっている前腕の持久力を重点的に鍛えていきます。握力が伸びるにつれ、プルアップの回数も増えていきます。  

多関節種目を先に、単関節種目は後にやる

多関節種目とは2か所以上関節と筋群を同時に動かす、例えば肩と肘の関節を動かすプッシュアップや、膝と関節を動かすスクワットなどがあり、SREの多くがこの種目に入ります。 単関節種目とは1つの関節だけを動かし、上腕二頭筋を鍛える肘関節のバイセップスカールや手首のリストカール、ふくらはぎを鍛える足首のスタンディングカーフレイズなどがあります。 多関節種目は多くの筋肉を同時に働かせるため、総合的な力を出しやすく、短時間で複数の部位を鍛えられます。 一方、単関節種目は1か所をアイソレート(分離)させて集中的に鍛えることができます。前項の大筋群優先と同じような関係と言えるでしょう。  

不得意な種目を先にやる

誰でもトレーニングには得意な種目と不得意な種目、言い換えれば発達しやすい部位としにくい部位があります。 得意な種目は筋肉の発達が比較的容易なことから、やっていて楽しく張り合いがでます。これが発達sにくい部位になると体の変化がなかなか見えてこないため、運動方法に迷いが生じたり、ヤル気が失われたりします。そこで、トレーニングを続けていると得意な種目に偏りがちになるのが普通です。 多くのジムにいる、明けても暮れても胸ばかり鍛えているベンチプレスフリーク。何をやろうか個人の自由には違いありませんが、しかし自分の得意な種目にばかり力を入れていると、筋力のバランスや左右のシンメトリー(均等性)が崩れてしまい、体のラインが妙になるばかりでなく、関節を痛める要因になったりと総合的な運動パフォーマンスも低下してしまいます。 例えば上腕であれば、上腕二頭筋と上腕三頭筋は肘の屈伸の拮抗関係にあり、どちらも偏らずに鍛える必要があります。真の体力向上を目指す人ならアンバランスなトレーニングを避けるべきです。 集中力と筋力が高い状態にあるうちに、発達しにくい苦手な部位や背面を先にやり、トータルバランスを完成させるように意識してください。  

健康に関係してくる抗重力筋

抗重力とは、地球の重力に対抗して2本足で体を支えるために必要な筋肉のことです。4本足を止めた人間にとって必要不可欠な筋群であり、上体面の大胸筋と腹直筋、上体背面の僧帽筋と脊柱起立筋、脚部の大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などがあげられます。 先に述べたように胸や腹部といった自分が鏡で見やすい前面にトレーニングは集中しがちになりますが、前面と背面の関係にある筋群のバランスを正しく保てないと姿勢が崩れてしまい、その結果、体調も低下してくるので注意してください。 とくに腰背部は体の動きの要となるにもかかわらず、目立たない部位のせいか個人トレーニングではさぼりがちになります。全身の筋力バランスの大切さを認識してください。  

働かせる筋肉を意識する

ふだん使われない筋肉は、その地域の神経が発達していないためにうまく動かせず、漠然と動作を繰り返しても刺激が的確にヒットしてくれません。そこで目的部位へ意識をしっかり集中させることで、正確さを増しています。 刺激が的確に目的の筋肉に来ているかを感じるためには、運動中にその部分を自分もしくは誰かにタッチしてもらうと分かりやすいです。  

ポジティブとネガティブ

動きのある動的筋力トレーニングは力を入れる方向から2種類に分けられます。 主動する筋肉が短くなりながら力を入れる状態をコンセントリックコントラクション(短縮性筋収縮)といい、そのような動きの運動をポジティブエクササイズと言います。 逆に引き伸ばされながら力を入れる動きをエキセントリックコントラクション(緊張性筋収縮)といい、こちらの運動をネガティブエクササイズといいます。 通常アイソトニックスでは1回の動作がポジティブとネガティブの2行程が成り立ちます。プルアップなら、体重に逆らいながら体を引き上げていく時がポジティブ、腕をゆっくり伸ばす時に入れる力がネガティブです。 ネガティブでは、縮もうとする筋肉が無理にストレッチされる形となって筋線維が損傷を受けます。この痛みがトレーニング後に起きる遅発性筋肉痛です。 筋肉が損傷のダメージから修復された時により太く強くなる過程を考えれば、エキセントリックな動作で力を抜かないことが大切です。]]>

コメント

タイトルとURLをコピーしました